
第七章 共通点 一話
理亜たちが、パーティーをしている時、刑事の輝美と善悟は、砂川警察署で捜査の足掛かりを掴むため奮闘していた。
「あー、もう。調べても分かる事と言えば、同じ手口で殺された事ぐらいしか分かんないぜ」
善悟は髪をクシャクシャさせながらうなだれていた。
「いや待て。心臓を一突きにされた被害者はこの前言った共通点だけだったが、めった刺しにされた被害者の共通点が分かったぞ」
「えっ! マジか⁉」
輝美がパソコンを熱心に操作しながら掴んだ情報に、善悟が一驚して、輝美の元に駆け寄る。
輝美が、善悟にも見やすい様に、資料をまとめる。
「えーと、なになに。……えっ! めった刺しにされた被害者たちは全員、クリーチャープレイバスケットボールの参加選手⁉」
「これを知るのに苦労したんだぜ。国家認定の闇スポーツ競技と言っても、選手の事は極秘事項だからな。政治家の極一部と、警察の上層部しか知らない。そして、観客は選手の情報を他言無用として契約書にサインし、会員制にしたんだ。もし誰かに喋れば、罰金千億だとよ」
「はっ! 千億⁉」
輝美がコーヒーを啜りながら説明すると、目玉が飛び出るんじゃないか? と思うほど驚愕する善悟
「ああ。だが、ここまで常識はずれな罰金となると、それだけじゃないはずだ。何か裏があってもおかしくないな」
「て言うか輝美。お前どうやってこの極秘情報のデータを開けたんだ?」
「ハッキング」
「うわー」
冷めた表情で呑気にコーヒーを啜る輝美が隠すことなくそう口にすると、善悟が棒読みで呆れていた。
「お前さ。政府や警察の上層部しか知らない機密情報を、勝手に知ったら俺らタダじゃすまないぞ」
「だろうな。俺ら下っ端はトカゲのしっぽキリにもならん駒同然だ。そんな役職のやつが知ったら始末書やクビになるだけじゃすまないのは確かだな」
嫌な汗をタラ―と背中から流す前後に対し、淡々と現実を口にする輝美。
善悟は、しかめっ面で目線を横に逸らす。
そして、嘆息しながら陰鬱な気持ちで俯く善悟。
「今更嘆くなよ。俺ら一蓮托生だろ?」
「にしったって限度はあるだろ!」
ボケるみたいに、輝美が呑気な顔で善悟の肩を軽く叩きながら、善悟に向かい親指を立てる。
善悟は芸人見たいなノリでツッコむ。
コメント