クリーチャープレイバスケットボール 第七章 共通点 二話

第七章 共通点 二話

 「まあそう言うなよ。仮にバレてもこの人数のデカから判別するなんて無理だろうし、金(こん)輪(りん)際(ざい)、このサイトは開かねえよ」

 「はあー。分かったよ」

 輝美の言葉に仕方なく承諾する善悟。

 輝美は、金輪際、企業秘密のサイトを開かないため、今のうちに、データをコピーする。

 「んで、話は戻るけどよ。これってどう推理すればいいんだ?」

 話を切り替える善悟。

 「まずはめった刺しにする犯人についてだが、これはクリプバの大会運営員会が怪しいと俺は思う」

 「それまたどうして?」

 「めった刺しにされた被害者は全員がクリプバの参加選手であり、引退した選手だ。まるでスカウトする見たいに目ぼしい選手を見つけては足や腕をめった刺しにしてクリプバに参加させ、引退した選手は裏で始末する」

 「まてよ。普通、足や腕がめった刺しにされたら切断を余儀なくされる程の重傷を負うだろ? 選手生命だって絶たれるのに、何でそれがスカウトされるって話になるんだ?」

 輝美の説明に待ったをかける善悟。

 「こいつを見てみろ」

 「これって、さっきお前がハッキングして調べている、国家資料の一つだよな。何々……え! 何だよこれ!」

 パソコンを睨みつけるように見て驚愕する善悟。

 「見ての通り、切断を余儀なくされた選手は、全員、ペナルトギアと言う義足や義手が付けられる。そのペナルトギアってのが、装着された被験者に、人外レベルの基礎能力や感覚器官を与える。仕組みは書いてないが、国家資料が捏(ねつ)造(ぞう)された線は薄いはずだ。だとしたら、ドーピング以上に危険なその代物が、犯罪の核になってても不思議じゃない」

 輝美は鋭い目をパソコンに向けながら、不快感を露わにしていた。

 「目ぼしい選手を見つけては、クリプバに参加させるため、手足を使い物にさせなくさせ、用済みになればペナルトギアを取り外すついでに、口封じのため殺すってか。イカれたスカウトに、随分、粗末な待遇な事で」

 善悟は自分のデスクワークに戻り椅子に腰かけ、呆れながらコーヒーを啜る。

 「それで大会運営員会が怪しいって話か?」

 「ああ。実権を握るのは政府だが、クリプバの大会運営員会の関係者はそれに匹敵する権力者の集まりだ。だとすれば、事件の発端になっている、クリプバの運営員の会長が怪しい」

 「なるほどな。それにも書いてたけどよ。いや、実際には書かれてないけどよ。運営員会の会長の名前」

 「そこが問題なんだよな。恐らく、一切データベースに残せない様な、トップシークレットの事案なんだろ」

 二人は晴れない表情で、しばらくの時を過ごすのだった。

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